戸隠森林植物園ボランティアの会について
当会の設立経緯
平成10年(1998年)戸隠森林植物園に「森のまなびや」(当時は「森林学習館」)が建設されたのを機に、戸隠の自然と園内で見られる動植物について案内する会が設立されました。
戸隠森林植物園ボランティアの会
戸隠森林植物園は生物の生存が豊かで特に野鳥の種数の多さで、日本を代表する生息地です この素晴らしい自然環境を護り正しい利用を推進するための戸隠森林植物園ボランティアの会を本年(平成十年)三月発足させました
会の主メンバーは十数年にわたり園内で自然解説活動、探鳥会などを続けてきた戸隠を知る会、日本野鳥の会の有志、及び戸隠森林植物園にかかわる研究者、自然愛好家で組織されていますが 今回県当局並びに戸隠村のご理解を得て館内にボランティアルームを設けていただきました
今後ここを中心に森林館の運営に協力するとともに園内での解説ガイド、整備清掃などのボランティア活動を展開してまいります 七〇ヘクタールをこえる広がりをもつこの植物園のガイド及び管理運営にはオリンピック同様経験と情熱をもった多くのボランティアの協力が必要です
ご協力とご理解をお願い致します
(戸隠を知る会会長)
理事長 細野 哲夫
(日本野鳥の会長野支部長)
理事長 細野 哲夫(日本野鳥の会長野支部長)

当会が目指す観察会や植樹活動への思い
「自然観察からはじまる自然保護」という言葉がありますが、単に花の名前を教えるということではなく、地域に根ざし五感を使っての自然観察、自然のなりたち自然の神秘を参加者に知ってもらい、そこから環境保全の大切さを感じてもらえるような観察会を目指しています。また、事業活動は自然観察会のみにとどまらず、NPO法人やまぼうし自然学校と森林整備協議会を結成し、「戸隠ふれあいの森」における植樹および森林整備を行っています。「戸隠ふれあいの森」については生物多様性の観点から極力戸隠で採取したドングリなどから苗を育て、それを森に返しています。ドングリ拾いなど種子の採取種子から苗づくり、植樹まで地域の学校と連携出来たらと考えています。
代表者(理事長) 加藤 邦武 R7.6~
代表者(理事長) 加藤 邦武 R7.6~

◆ ◆ ◆ 戸隠の魅力 ◆ ◆ ◆
(戸隠を知る会資料より転記)
戸 隠 散 策 水上憲宗
戸隠の風景には人を魅了して止まない何かがあると言われている。名だたる修験道場として多くの修験者が洞窟に籠り回峰して修行に励み、また教学では最澄が比叡山延暦寺を始めてのち僅か百年後にはすでにこの地に『天台宗顕光寺』が創建され、幾多の俊秀が集まって研鑽を積んだ。その霊地なるが故に醸し出される気のようなものであろうか。
信州には上高地をはじめとして標高千メートルをこえる高所観光地が多いが、千年の昔からある程度の集落を形成していたのは此処、戸隠だけであって人々はしなやかに自然と付きあってきた。自然保護、環境理論などと大上段に構えなくても住民の素朴な生業のなかに自然を畏敬する数々の慣習が受け継がれ、乱開発に歯止めをかけている。戸隠の原風景にそんな深層があるのを見逃してはならない。
戸隠には川端康成、林芙美子など多くの作家や歌人が訪れ幾多の作品を残しているが、いずれも鋭い感性で戸隠の本質を探りだし素朴な戸隠人の姿を下敷きに幽玄な世界を書きあげている。
植生の豊富さは日本で有数な地域である。必然的に野鳥の天国が生まれた。日本野鳥の会の生みの親、中西悟堂は小鳥のコーラスに聞き惚れながらも戸隠の玄妙さを見逃さず、屏風のような戸隠連峰を大半円劇場にみたて天の岩戸伝説をしのんで荘重、悠久、優美そしてロマンティクでさえあると感動を隠していない。津村信夫の詩『戸かくし姫』は美しい自然と清純な戸隠の乙女とのかかわりを主題にした類いまれな名詩とえうよう。
あまり知られていないが脚本家、倉本聡は北海道富良野に落ち着くまえ数年にわたり中社の宿坊にやどり越水ケ原の散歩を楽しんでいた。名作、北の国も、富良野塾の構想も戸隠の風物が下敷きになっているようである。
私が戸隠に移り住んですでに30年の歳月が流れさろうとしている。懐の深い戸隠で晩年を過ごせる幸せを噛み締めている日々だが、戸隠を訪れる人々には唯その風景や自然を愛でるだけてなく歴史の深さなど深層部分に触れてほしいと思う。
1924年、更埴市生まれ新聞記者生活のあと
1967年から、戸隠越水ヶ原で山荘を営む。
村内外の人々と戸隠を知る会をつくり戸隠の自然、
歴史、民俗、文学などを研究し、戸隠の本質を世
に知って貰うための解説活動や戸隠の原植生であ
るブナ植え運動に取り組む。
戸隠文化財審議委員・観光審議委員・旅館組合長
など歴任。エッセイを書く。
2021年、逝去。